私たちの研究室では、フードテック(Food×Technology)を下支えする科学的知見の収集に努め、食品産業におけるイノベーション創出への貢献を目指しています。主な研究対象は野菜や果物といった植物性食品で、素材の持つ化学的・構造的な情報を解析し、ポストハーベスト処理や食品加工・調理に関わるテクノロジーの進化に向けたフィードバックを行っております。また、代替タンパク質における嗜好的機能の改善に関わる研究にも取り組んでおります。

農産食品における組織構造の定量解析

農産物やこれに由来する材料を対象に,最新のイメー ジングや画像分析・解析を駆使することによって,微細構造の特徴を把握します。貯蔵中や加工操作による組織構造の変化を定量的なパラメータとして導くことで,食感やその他物性との関連性を明らかにしていきます。

食成分変化のプロファイリング

食品の味や機能性に関わる成分は貯蔵や加工に伴い変動し、それぞれのバランスによって品質を左右します。分析機器の発展は目覚ましく,最近では数百にも上る成分を一斉に分析,定量化することも可能になっています。本研究室でも,このような装置を利用することで,成分変化のプロファイリングを行い,加工操作等の最適条件を検討しています。

組織健全性把握のための計測技術

農産物の品質・貯蔵性は,その組織の状態によって大きく左右されます。
そのため,加工・貯蔵における技術開発や品質管理において,組織状態を簡便に評価する方法が求められています。当研究室では,農産物組織に交流電流を印加した際の抵抗値を計測・解析し,実際の組織状態の変化との関連解明を目指しています。

代替タンパク食品の嗜好的機能

世界の食料安全保障を確保するため,新たなタンパク質源の探索とその有用性評価が進められています。
当研究室では,このような新たな食品について嗜好的な価値に関わるデータ収集を進め,科学的知見に基づく評価を進めています。例えば,国内では昆虫の食品利用への検討が活発化していますが,一般的な消費者層の嗜好性に対する考慮が十分ではなく,時に大きな反発を招いています。
代替タンパク質というと,開発者・生産者側は栄養的価値や社会課題解決における意義を強調しがちですが,多くの人が”美味しい”と感じるものでないと食品として推奨すべきではないというのが私たちの基本的な考えです。
当研究室では,様々なタンパク質源における嗜好的機能を明らかとするとともに,新たな加工プロセスの提案によって嗜好的機能の制御の可能性を模索しています。

Other Topics

この他にもフードテックに関する様々な課題に取り組んでおります。また,企業様との共同研究についても積極的に取り組んでおります。是非,お気軽にお問い合わせください。

Keywords: 農産物,冷凍,乾燥,ブランチング,ポストハーベスト,食品加工,エディブルコーティング,デンプンモルフォロジー,原子間力顕微鏡,インピーダンス,X線μCT,食用昆虫,etc…