食品加工学分野(西津)

人工咀嚼装置を用いた食品品質評価系の構築

食品のおいしさは主として咀嚼過程において知覚されます。従来,この咀嚼過程の変化はヒトが介在する官能評価によって行われることもありましたが,評価者の年齢,体調,性別などによる影響を受けるため,再現性の高い結果を得るのが難しいといった課題もありました。当研究室ではヒトの咀嚼過程を模擬する装置を開発し,咀嚼過程での食塊物性変化やフレーバーリリースの変化を評価する手法の開発を試みています。

炊飯米の老化機構の解明

炊飯後のご飯は適度な柔らかさや粘りによって良好なテクスチャを形成します。これはデンプンの糊化による特性ですが,時間の経過に伴って再結晶化(老化)が進み,食感や外観の劣化をもたらします。おにぎりなどの米飯加工食品では,老化抑制を目的として酵素製剤が用いられています。しかしながら,デンプン老化やその抑制機構については十分解明されていない点も多くあります。当研究室では,X線回折法を用いた老化度の評価手法の確立に加え,鎖長分布解析,小角X線散乱などによってデンプン分子の挙動を明らかとしています。

小麦粉製品の生地物性制御

パンやケーキなどの小麦粉を主原料とする食品は,生地の物性によって焼成後の口どけ感や柔らかさが変化します。そのため,生地物性の制御がこれらの製品の品質に直結します。当研究室では,グルテン構造の可視化技術などを駆使して副原料物質との相互作用を解明しています。また,X線μCTを用いた気泡構造の定量解析も行っています。